メディカル給食

衛生管理、作業手順、人的管理などの規則がある

 「メディカル給食」には、食事を作る際の衛生管理、作業手順、人的管理など詳細について規則があり、こうした規定を守らなければ、病院はその業者に給食業務を委託してはならないことになっている。また、診療報酬が支払われるメディカル給食は、基本的に価格まで決められている。病院の基本給食は現行の医療保険制度の下で入院時食事療養費として、1日1人当たり1920円と決められていた。これに加えて「治療食」(医者が病状や治療目的に応じて作成する「食事箋」に従って作る食事)を提供する場合には、1日当たり350円か加算される。

 このほか、管理栄養士が付いて適時適温を守りながら、夕食時間は4時半と決められているものの例外的に7時に提供するような場合は、1日当たり200円かプラスされる。これは「特別管理加算」という仕組みで、早すぎる昼・夕食時間を嫌った患者の間で利用者が急増している。このほかにも病室ではなく食堂で食事を摂る場合は50円の加算。朝食にごはんかパンかを選ぶ選択メニューを望んだ場合は、50円か加算される仕組みなどさまざまな方式がある。

 大学病院や国公立病院のような大規模医療機関の場合は、こうした加算を望めばすべてかなえられるようになっており、この場合、1日1人当たりの価格は2500円前後になる。

 これらのメディカル給食費は医療機関に支払われ、委託され供給しているメディカル給食業者には直接人ってこない。医療機関としても管理費用や設備費用が必要であり、これらを総合的に勘案して契約金額を決定している。自己負担額は前述したように1日当たり780円だが、例外的に低所得者には500円とか、老人の場合は300円という具合に安くなるケースもある。メディカル給食とひとくくりに述べてきたが、いわゆる医療機関から老人医療施設などまで給食を供給する施設の法的範囲は広く、それぞれに法律による規定の網がかぶせられている。

①病院、診療所および助産所・:医療法

②介護老人保健施設・:医療法・介護保険

③指定介護老人福祉施設介護保険

④指定介護療養型医療施設特別養護老人ホーム、介護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム・:老人福祉

乳児院児童養護施設知的障害児施設、肢体不自由児施設、重症心身障害児施設…児童福祉法

身体障害者更生施設、身体障害者療護施設、身体障害者福祉ホーム、身体障害者授産施設身体障害者福祉センター・:身体障害者福祉

知的障害者更生施設、知的障害者授産施設・:知的障害者福祉

救護施設、更生施設、医療保護施設…生活保護

 あくまでメディカル給食は治療の一環と位置付けられており、医療法や厚労省令で定められた細かい規則に従って事業を行わなければならない。この点が企業内給食と異なるところだ。