パラコクシジオイデス症

原因菌はParacoにid.ioid.es brasilie刀臨である。本症は南アメリカに地方病として発生し、特にブラジル、コロンビア、ベネズエラにおいて高率に見られるoわが国で見られる症例は汚染地域で感染したものである。男子は女子に比べ罹患率が高く、農夫や労務者は特に罹患率が高い。感染は汚染された土や塵埃の吸引によるものと考えられる。

 肺パラコクシジオイデス症pulmonary paracoccidioidomycosis は、P.brasiliensisの短菌糸あるいは分生子を吸入することにより起こる。大部分は無症状のまま治癒するが、一部は進行性となり化膿性、肉芽腫性病変を引き起こす。これらの炎症組織内では、比較的大きな多極性出芽multiple budding を示す酵母様細胞が認められる。粘膜皮膚リンパ管型パラコクシジオイデス症muc ocutaneous -lymphangitic paracoccidioidomycosisは口腔粘膜、歯齦、鼻粘膜、肛門粘膜および結膜などが侵されるもので、肺の初感染病巣からの転移による場合と、直接感染によって発症する場合がある。潰瘍を伴う肉芽腫性病変が特徴的である。特に本症においてほかの深在性真菌症と異なることは、口腔粘膜や歯齦、肛門周囲に病巣が多く見られることである。ブラジルでは農民や地方在住者は歩きながら道端に生えている稲に似た雑草を口にくわえチューインガムのように噛む習慣があり、また排便後周囲に生えている草や野菜で処理する人も多く本症感染の一原因とも考えられる。全身性パラコクシジオイデス症systemic paracoccidioidomycosisは初感染部よりリンパ行性あるいは血行性に肝、脾、小腸、副腎、骨および中枢神経系などに転移する。

 P.brasiliensisの寄生形態は球形あるいは卵円形の直径5~60μmにわたる多極性出芽を示す酵母様細胞である。病理学的特徴は化膿性病変と肉芽腫性病変が混在しており、病勢によりどちらかが主となる。

 診断は組織学的検査または原因菌の分離によって行われる。培養濾液のパラコクシジオイジンを抗原とした遅延型皮膚反応および菌体多糖抗原を用いる補体結合反応は診断の補助的手段となる。

 治療にはアンホテリシンBが有効である。