風疹の疫学的特徴

 1.発生状況 3年から10年の間隔で学童を中心に流行が発生する。1回の流行で小学生の30~50%が感染して免疫を獲得し、感染しなかったものは次の流行で感染し免疫を獲得し、わが国の成人、妊娠可能年齢の婦人のほぽ70~90%が風疹に免疫を有していた。しかし、最近はこの成人女性抗体陽性率が低下の傾向にある。季節的には、早春2~3月ころから初夏6月までが流行期で、盛夏のころには流行は中断し、翌春再び患者発生が始まる。

 わが国では1960年代前半、 1970年代の後半に全国的に風疹が流行し、それぞれの前半には患者発生はないか極めてまれであったが、 1970年代の流行以後は毎年風疹患者は発生し、3~10年の間隔で流行的発生を見るようになり、 1980~82年、86~88年、92~93年に流行をみた。わが国の特異な風疹流行パターンは1970年代から欧米と同じ流行パターンに変化した。

 2.感染源 感染源は、感染したヒトの鼻咽頭分泌物が主である。

 先天性風疹症候群の患児は咽頭、尿から生後数か月はウイルスを排泄するので、感染源となる。新生児室などでは注意が必要である。

 3.伝播様式 患者の鼻咽頭分泌物中に風疹ウイルスが含まれ、患者との接触による飛沫感染、汚染した器物を介して伝染がある。

 4.潜伏期 14~21日、通常16日。

 5.伝染期間 発疹出現前および後のそれぞれ1週は伝染するO学校保健法による登校停止期間は発疹消失までである。先天性風疹症候群患児のウイルス排泄期間は生後数か月であるが、患児によっては1年以上伝染源となることがある。

 6.ヒトの感受性 母親が風疹抗体陽性の子供は母体からの受動免疫により、生後4~6か月間は感染しない。母子免疫のない子供は感染機会があれば新生児期でも感染罹患する。1回感染するといわゆる終生免疫を獲得する。