ウォーキングで乳癌の発生率低下

閉経後女性でとても活発的な人や、1週間に最低7時間以上歩く人では、乳がんの発症リスクが低いことが、米国癌学会(American Association for Cancer Research)のジャーナル『Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention』に掲載された論文により明らかになりました。

毎日1時間以上活発な運動をする人では乳がんリスクが25%低く、1週間に7時間以上ある人では同リスクが14%低下していることが、73,615人の閉経後女性を対象とした試験により明らかになりました。

身体活動とウォーキングで得られるベネフィットが体型やホルモン状態(閉経後ホルモン使用やエストロゲン受容体の状態)の影響を受けないと、研究者はデータ調整後に判断しました。

ウォーキングが乳がんリスクの低下に関連していることは、今回の試験で初めて明らかになりました。

現行のガイドラインでは、健康維持のために1週間に2.5時間以上の中強度運動をとることや、毎週75分以上のエアロビ運動をすることを推奨しています。激しい運動が乳がんの予防に大きく貢献するかもしれません。
Patelらは癌発生率の前向き試験(prospective study )『がん予防試験Ⅱ栄養コホート(Cancer Prevention Study-II Nutrition Cohort)』で1992~1993年に登録された50~74歳の女性97,785名から73,615人の閉経後女性を特定しました。患者は登録手続きの際に人口統計学的要因と医学的要因、および環境要因に関する自己記入質問事項に答えました。また、体調悪化や癌の発生などの情報を更新するため、患者は1997年から2009年にかけて2週間ごとにフォローアップ質問事項に答えました。

そして、1週間にウォーキングやジョギング、水泳、テニス、自転車、エアロビなどのさまざまな運動に費やした時間や、テレビ観賞や読書などの座っている時間の情報を得た研究者は、各登録者の1週間における代謝当量( metabolic equivalent :MET)の合計時間を算出しました。これは安静代謝率(resting metabolic rate)に対する、特定の活動によるエネルギー消費量の比率です。

その結果、毎週42MET時間異常の活発な女性のほとんどでは、運動の少ない女性よりも乳がんのリスクが25%低下していることがわかりました。

運動すれば痩せてきれいになるし、乳がんを予防することもできる。一石二鳥ですね。