新生児髄膜炎

 新生児ごとに早期新生児期といわれる第1週の新生児・未熟児の髄膜炎では、髄膜炎の症状一所見に乏しく、無熱または低体温、元気がない、不機嫌、嗜眠状、哺乳力低下など何となくおかしいと思われる不定症状のみである。ときに呼吸障害、黄疸、腹部膨満などが前面に出るが大泉門膨隆も著明でない。臨床上、本症を念頭に置き、疑わしい場合には髄液検査を行う。髄液、血液培養による菌検出が必須である。新生児髄膜炎の70%以上が菌血症を合併している。原因菌は主として母親の産道細菌叢に由来し、B群レンサ球菌、大腸菌を始めとするグラム陰性腸内細菌である。ほかにリステリア菌緑膿菌ブドウ球菌、フラボバクテリウムなど非発酵菌、腸球菌も見いだされる。インフルエンザ菌、肺炎球菌はまれで生後数週から漸次検出率が上昇してくる。

 治療はアンピシリンとアミノ配糖体の併用が行われてきたが、近年セフォタキシムなど第三世代セフェム系剤が多用されている。この場合、リステリア菌、腸球菌、肺炎球菌をカバーするために菌判明までアンピシリンを併用すべきである。

 新生児髄膜炎の予後はよくない。それは診断が難しく治療開始が遅れがちであり、また治療困難な菌種が多いためである。母子感染防止の立場から膣培養でB群レンサ球菌やリステリア菌が認められた場合、アンピシリンなどの予防的投与が検討されている。