友達関係の決定的要素は性格の同一性にある(チンパンジーの実験結果)

人間のように、多くの動物は緊密で安定的な関係をもっています。しかし、何が特定の個体間におけるつながりをもたらすのかはまだわかっていません。オーストラリアのVienna大学の認識生物学者は、チンパンジーが自身に似た性格の友達を選ぶことを発見しました。これに関する論文は、科学ジャーナル『Evolution and Human Behaviour(進化とヒト行動)』に載っています。

Jorg Massenと Sonja Koski(Zurich大学)は行動実験でチンパンジーの性格を長年観察し、その評価を行いました。また、どのチンパンジーがどのチンパンジーにボディタッチするかを慎重に記録しました。 これにより同動物集団における仲間関係がはっきりとわかったそうです。そして、一緒に座っているチンパンジーは互いに似た性格なのか、または異なる性格なのかをテストしました。

その結果、血縁関係のない友達間では、社交的かつ大胆な個体が自身と同様の性格をもつワイルドな個体を好み、シャイで非社交的な個体も自身と同じ性格のよそよそしいシャイな個体と一緒に長く過ごすことがわかりました。

そして、パートナーが同じような行動的傾向や感情状態をもっていると、互いの関係がより信頼性の高いものになるので、自分に似た者を選ぶことは環境に適応していくうえで重要であるという結論が出されました。

これと同様のことはヒトでも確認されます。私たちは自分に似た人を友達にする傾向があります。つまり、友達作りの決定的要素は社交性と大胆さの同一性にあるといわけです。