頭部神経痛の診断


「頭が痛い」といって患者が病院を訪れた場合には、医師は、触診といって、患者の頭を触って診断をするはずですが、触ってみない医師もたくさんいるそうです。そういう医師は、「触ってみなくても、頭部CTなどを取れば診断は容易だ」と思っているのかもしれません。

しかし、頭部CTなどに異常所見の見られない頭痛はたくさんあるのです。ですから、頭部CTは撮るとしても、十分な問診は何より大切ですし、疾患によっては触診もとても大切になります。

たとえば、患者に触診を行ってみて、「数日前から頭の半分がピリピリ痛いが、痛みは断続的で、吐き気などはない」という場合には、頭部の触診は非常に重要になります。そして、意志であれば、医学生の頃に解剖学で学んだ東部の末梢神経の走行に沿って圧痛がないか、あれば、神経圧迫によって電撃様または鋭く刺されるような痛みが走るかどうかを調べたいものです。その結果、右なら右の大後頭神経に圧痛があり、大後頭神経に沿って痛みが鋭く走るということであれば、右大後頭神経痛であると診断できます。

頭部神経痛は決して少ないものではなく、病院を訪れる患者の中でも、片頭痛に多い「こまった頭痛」は頭部神経痛ではないか、と考える医師もいます。ただし、片頭痛群発頭痛は全くの機能性疾患ですが、頭部神経痛は器質性疾患(出血、腫瘍、変性、挫傷、炎症など)と若干の関係はありうるといえます。

たとえば、とても痛くて夜も眠れないほどの頭部神経痛ならば、頭皮の帯状疱疹による神経の炎症を疑わなければなりません。また、副鼻腔炎、いわゆる蓄膿症ですが、その急性のものなどでも頭部神経痛を起こす場合があります。

こちらではないということになれば、肩こりが強いための神経痛が考えられます。また、むち打ち症というか頸椎捻挫の後に起こってくる頭痛のうちでも、頭部神経痛は少ないものです。ですから、頭部神経痛では純粋の一時性頭痛(慢性機能性頭痛)とは少し違ったところがあるといえるでしょう。

しかし、いずれにしても頭部の触診で大後頭神経、小後頭神経、あるいは、眼窩上神経などに明らかな圧痛があれば、頭部神経痛であることは間違いないでしょう。ただし、低髄液性の頭痛などでも頭部の神経に圧痛があることが考えられます。