紅斑性狼瘡(ルーパス)の女性は自閉症スペクトラム障害の子供を産みやすい

紅斑性狼瘡(lupus;ルーパス)を呈する女性では、自己免疫疾患のない女性の場合よりも自閉症の子供を生む確率が倍になることが、予備調査( preliminary research )によって明らかになりました。

しかし、全体的なリスクはそれでも低いため、今回の結果はルーパス女性への対応を変えるものではありません。紅斑狼瘡患者が妊娠してはいけないということではありません。

今回の調査は、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus)の女性が自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)の子供を産みやすいという報告を調べるために行われました。

McGill大学リウマチ学部助教授のEvelyne VinetらはQuebecデータベースで全身性エリテマトーデス(SLE)の女性を特定し、自閉症スペクトラム障害と診断された子供が何人いるのかを確認しました。

紅斑性狼瘡の女性から生まれた子供の1.4%が、自閉症スペクトラム障害と診断されていました。ちなみに、狼瘡を呈していない女性の場合は0.6%でした。女性の狼瘡と子供の自閉症の関連が明らかになりましたが、母親の狼瘡が自閉症をもたらすということが証明されたわけではないことに着目することが重要です。

Vinetはサンディエゴで開催されるアメリカリウマチ学会(American College of Rheumatology )で今回の結果を発表する予定です。

紅斑性狼瘡や他の自己免疫障害では、身体の免疫系が誤って正常な細胞を攻撃してしまい、皮膚や関節、臓器などの損傷をもたらします。場合にはよっては脳や神経系が影響を受けることもあります。

自閉症スペクトラム障害は、軽度(アスペルガー症候群)から重度の自閉症に及ぶ神経発達障害( neurodevelopmental disabilities )を呈するものです。

マウスを用いたVinetらの研究では、母親のルーパスの原因となる不良の免疫細胞が、子孫の脳細胞に影響を及ぼす可能性が明らかになりました。

新しい試験では、719人の子供を持つ509人のルーパス女性と、約8500人の子供を持つ約5900人の女性が対象となりました。

自閉症の発生率がルーパス女性で倍になるということに加え、自閉症の診断時期はルーパス女性の子供で早くなることもわかりました。ルーパス女性の子供では3.8歳、そのほかの女性では5.7歳です。

紅斑性狼瘡の女性の子供がなぜ早くに診断されるのかはわかっていません。しかし、これらの子供では自閉症がひどくなる傾向があるからなのかもしれない、という仮定がなされています。また、ルーパス女性は子供の変化に敏感だからという理由もあるかもしれません。