漢方薬のみでは治療できない

現在のところ漢方薬は、アトピー性皮膚炎の通常医療を補う形で使用されており、漢方薬のみで治療することはお勧めできません。

漢方薬には炎症をしずめたり、かゆみを和らげる効果があるものもあります。通常医療の薬の使用量を減らしたり、使用期間を短くするのに役立つこともあるので、この分野で漢方薬の研究がすすめられています。通常医療と併用して、患者の全身状態や皮膚症状に最も適切と思われる漢方薬が処方されることもあります。今後はさらに漢方に関する研究が進んで、基本治療の補助的な薬剤として注目されるようになるのではないでしょうか。

漢方薬については、副作用が少ないという印象があって、安全だと考えている人が少なくありませんが、薬である以上さまざまな副作用が生じる可能性があります。また、一般に漢方薬は異なる複数の生薬が調合されるので、皮膚科以外で漢方薬を処方されている場合、同じ生薬が重複して思わぬ副作用が出ることもあります。必ず、医師に他科で処方されている薬を見せてください。

漢方薬を使用したいときは、医師に相談しましょう。市販されている漢方薬には、安全性や有効性において問題があるものも含まれているので、医師の指導のもとで使用することをお勧めします。