慢性骨髄性白血病の治療成績

 慢性骨髄性白血病フィラデルフィア染色体とよばれる染色体をもつクローンの異常増殖を本能とする疾患である。多能性幹細胞レベルでの異常と考えられ,赤芽球系,巨核球系もこの染色体をもつ。発病当初は一般に慢性の経過をとり慢性期と呼ばれるが,末期に分化能を失った細胞が増殖し,急性白血病様の臨床像を呈することが特徴で,これを急性転化と呼んでいる。骨髄性ばかりでなく,急性リンパ性白血病細胞様の細胞が増殖することがあるが,前述の急性白血病と違い,一部を除き治療に抵抗性で,急速に死の転帰をとることが多い。各種の治療にもかかわらず,診断確定後の平均生存年数は3.5年と1920年代からほとんど変わらなかったが,近年インターフェロン療法,骨髄移植療法の進歩により,ようやく長期生存も望めるようになってきた。

 慢性期の薬物療法の実際は, busulfan, 6 -MP, cyclophosphamide, hydroxyureaなどの比較的小量療法, MCNU, vincristineで白血球数を減少させる治療が行われてきたが,これらの療法では生存期間の延長は期待できず,肝牌腑の緩和などQOLの改善に止まっている。一方, interferon療法は1980年代になって始められるようになり, 1990年になってようやく一般化したが,この療法によりPhl染色体が約40%の症例で減少ないし消失することが知られており,予後の改善の点で脚光を浴びた。しかしinterferonに抵抗性の症例も多く,最近では抗白血病剤と併用で投与される療法も導入されるようになってきた。interferonとhydroxyureaの併用によりPhl染色体が消失した症例を示す。代表的薬剤

①busulfan (マブリン)
 核蛋白異常の誘発
 2~6眤
 間質性肺炎,黄疸,腎障害
②hydroxyurea (ハイドレア)
 DNA合成障害
 500~2, OOOmg
 胃腸障害,腎障害
③interferon α(ヒューマリン、ハイドレア)
 300万~600万単位
 発熱,全身倦怠感,精神症状