パラチフス

 I 臨床的特徴

 1.症状 腸チフスと臨床的には鑑別し難い。

 2.病原体 Salmonella paratyphi。ファージ型で6型に分けられる。しかし、このほかのサルモネラによっても腸・パラチフス様症状を呈することもある。

 3.検査 腸チフスと同じ。

 II 疫学的特徴

 1.発生状況 腸チフスと同様、世界各地、特に日本を除くアジア、東南アジア、中東、東欧、中南米、アフリカの各地に蔓延している。わが国では終戦当時、年間1万人前後の発生が報告されたが、 1954年(昭29)ころから著明な減少の傾向が見られ、1969年~77年は100人を割ったが、 1978年以降再び100人を超す増加を見せた。 1986年以降、対象はパラチフスAのみとなったが、年間の患者数は89年の59人を除いては50人未満であり、しかも輸入例の占める比率が50~70%と高い。

 2.感染源 腸チフスと同じ。

 3.伝播様式 腸チフスと同し。

 4.潜伏期 1~2週間。

 5.伝染期間 腸チフスと同じ。

 6.ヒトの感受性 腸チフスと同じ。

 予防対策

 1985年(昭60) 11月14日付、厚生省保健医療局長通知「伝染病予防法第1条第1項のパラチフス病原体について」(健医発第1359号)により、伝染病予防法の対象となるパラチフスの起因菌はパラチフスA菌に限定し、パラチフスB、c菌による感染症サルモネラ食中毒として取り扱うこととなった。