痘そう Smallpox

オルトポックスウイルスに属する痘そうウイルスVariola virusの飛沫感染によって起こり、通常は12日間(7~16日)の潜伏期間の後急激に発病し、特徴のある熱型と、皮膚および粘膜に紅斑、丘疹、水疱、膿疱、落屑と規則正しく進行する発疹を生ずる急性の全身性・熱性・発疹性疾患で、伝染力および致命率が高く、有史以来人類を悩ませてきた。  WHOは、 1967年疸そう根絶計画を発足させた。疸そうウイルスは、自然界での宿主がヒトのみに限られていたこと、不顕性感染がなく患者の発見が容易であったこと、そして何よりも種痘という強力な武器があったために、計画は着々と進行して各国の痘そう根絶に成功、遂に1977年10月26日ソマリアにおける患者発生報告を最後に、以後いずれの国からも発生報告はなくなった。 2年間の監視期間を経て、 1980年5月8日第33回世界保健総会は、地球上から痘そうが根絶されたことを宣言した。そして、国際保健規則から痘そうを削除し、 1982年1月1日以降国際的に種痘は不要となった。