食塩感受性高血圧患者の食事療法

日本人の食塩摂取量は、一人一日12グラムを少し超えています。厚生労働省はこれを10グラム以下にすることを勧めていますが、できればもっと少ない方がいいでしょう。欧米では5グラムぐらいをにすることを目標にしているところもあります。
食塩の少ない食生活に健康上不利益をもたらす点は一つもありません。ベビーフード、家庭の食生活、さらに学校給食、外食など食環境のすべてについて、食塩をなるべく減らすことをキャンペーンする必要があります。
日本食は昔から、漬物、みそ汁、梅干しなどと一般に塩分が多いです。今でもしょうゆ、みそ、食塩などの調味料から塩分を取る量が相変わらず多い。貧しい時代はおかずは塩辛くして少なくとり、ご飯をたくさん食べるという習慣がありました。また、常温で保存する必要もあって塩分を多く含むものが多かったのです。今では冷蔵庫が普及しているし、食材の種類も億なっているので、塩をそれほど多く使う必要はなくなっています。
塩分を減らすための工夫としては、次のようなことが挙げられます。
1. 栄養のバランスを考えていろいろの種類の食品を食べる
2. 加工食品(かまぼこ、チーズ、ハム、ソーセージなど)、インスタント食品、ファーストフード、漬物などは塩分含量が多いので控え目にする
3. みそ、しょうゆなどの使用量を減らして薄味になれる
4. 汁物はなるべく具を多くする
5. 新鮮な材料で食品自体の味と香りを生かす
6. 酢や香辛料を多く使う
7. 市販のだしよりも天然だしを多く使う。
8. 煮物はよく煮込んでからしょうゆなどの塩味を加える
また、日常の外食や主要食品の食塩含量を知っておくことも役立つでしょう。例えばラーメン一杯5グラム、焼きそば一皿5グラム、にぎりずし一人前5グラム、みそ汁一杯2グラム、梅干し一個2グラムなどです。
食塩を多くとると、体内にナトリウムと水が溜まって体液量が増えるので、それを腎臓から排泄するために血圧が上がると考えられています。
腎臓からのナトリウム排泄能力は人によって違い、その力の弱い人出は血圧が上がりやすく(食塩感受性高血圧)、その能力が十分な人では血圧が上がらないと考えられています。昔、食塩を30グラム以上とっていたと言われる東北地方は高血圧の頻度が高かったのですが、血圧の高くない人もいたのであり、食塩を多くとればみな同様に血圧が上がるというわけではありません。高血圧の中にも、食塩を制限すると血圧が下がってくる人とそうでない人のあることもわかっています(食塩非感受性高血圧)。