悪性リンパ腫への単剤効果:アルキル化剤、代謝拮抗剤、植物アルカロイド、抗癌抗生物質など

 悪性リンパ腫の組織型は,ホジキンリンパ腫(Hodgkin Lymphoma :HL)と非ホジキンリンパ腫(Non~Hod gkin Lymphoma : NHL)に2大別され,治療方法,化学療法の感受性,予後もやや異なっている。一般的にHLの方がNHLより化学療法に高感受性であり,予後も良好である。

 本邦での発生頻度はNHLが圧倒的に多く,よって紙面の限定もあるため,本稿ではNHLにっき記述する。 NHL は限局しているようにみえても,すでに全身型となっている症例が多く,このためあらゆる病期の症例が化学療法の対象となる。以下にNHLの化学療法の単剤,併用療法の効果につき解説する。

              単剤効果

 アルキル化剤では全世界でCPMが,ヨーロッパではCLBが用いられているが,有効率は50%程度であり,CRは稀である。

 ニトロソウレアはアルキル化剤に属すが,有効率はCPMなどよりやや低いと考えられている。

 MTXの通常の投与量2)での37%の有効率はやや高すぎると考えられ,HDMTXはこの程度は有効と判断される。 Ara-Cは併用にかつて用いられたが今では稀である。

 VCRはNHLの治療に不可欠の薬剤であり, 50%の有効率で,アナログのVLB1 VDSはそれ以下の有効性と考えられる。VPRはアルキル化剤, VCRなど,臨床的な交叉耐性を欠き,しかも非常に有効な薬剤といえよう。

 抗癌性抗生物質中ではADMRが45%と高い有効率を示したが,そのアナログであるEPIはそれより高い67%の有効率であった。 BLMは血液毒性を欠くため併用療法に貴重であり, 42%の有効率であった。 THP,MXTはともに40%台の有効率である。

 PDNはNHLに対して最有効の薬剤の1つで74%と高い有効率であり,併用療法に必ず含まれている。 PCZは39%の有効率であった。

 単剤効果をまとめてみると, CPM, VCR, VP, ADM, PDNが第一選択, BLM、HDMTXがこれに次いでいる。