膀胱癌:表在癌、浸潤癌、CIS

 膀胱癌は泌尿器科領域で最も多い癌で、初発症状は無症候性血尿である。表在性と浸潤性、さらに特殊な型としてCISに大別される。

 ①表在癌:深部進展や転移がほとんどないので腿胱を温存するが、半数以上の症例で再発する。治療は経尿道的腫瘍切除(TUR - Bt)あるいは抗癌剤の膀胱内注入である。後者は再発予防を目的として行われることが多い。

 抗癌剤の膀胱内注入は使用薬剤、1回投与量、投与間隔、投与回数などまだ確立された方法はなくいろいろ試みられている。有効薬剤はマイトマイシン、アドリアマイシン、ファルモルビシン、ピラルビシンなどで、これらの薬剤の30~50・を20~30m/の生食に溶解し膀胱内に注入する。膀胱内滞留時間は2~3時間とし、通常週2~3回行う。膀胱内注入療法には全身的な副作用は少ないが、局所の膀胱刺激症状がある。

 近年BCGも表在癌に有効性が認められている。 Tokyo 株BCG80㎎を生食30m/に溶かし、週1回膀胱内注入を8週間、その後1年間月1回の注入が試みられているが、維持療法の効果については結論がでていない。BCGは表在癌の再発予防に用いられるが、治療目的でも用いられ、抗癌剤無効例の治療にも有効である。副作用としては膀胱刺激症状が強く、まれに萎縮膀胱になる。全身的には間質性肺炎、肝炎、粟粒結核、臓器不全の報告がある。

 ②浸潤癌:原則として膀胱全摘であるが、術後の補助療法としてCisca、 CAF、 FAP M-VAC療法、 neoadjuvantとしてM-VAC全身投与が検討されている。また、動注療法はneoadjuvantとして、あるいは膀胱を温存することを目的として試みられている。

 M-VAC療法が現在最も有効で汎用されているが、副作用が強く奏効期間も短いので、さらに有効なレジメンの開発が望まれる。

 ③CIS : 膀胱の移行上皮内癌は本邦では比較的少ないが、いずれ浸潤癌になる予後の悪い癌である。治療は主としてBCGの膀胱腔内注入療法が行われ14)、15)、この治療法により上皮内癌の60%は治癒する。