腎癌:抗癌剤無効時にはfluorouracil系薬剤『UFT』が多少有効

 腎癌は比較的少ない癌で全悪性腫瘍の1. 5%を占めるにすぎないが、最近増加の傾向にある。とくに超音波断層法、CTの発達により発見率も増加している。基本的には腺癌であるが、多彩な病理組織像を示す。原発巣摘出後転移が自然消滅する例が世界でわずかに報告されているが、これには免疫が関与していると考えられている。

               症  状

 初期は無症状で、静脈性腎盂造影でも変化を示さないことが多い。発見の動機は血尿、上腹部の疼痛、腫瘤触知あるいは病的骨折が多く、これ自体すでに進行癌の症状で、事実初診の半数以上は転移例である。また尿路外症状として発熱、消化器症状、全身倦怠感などが初発症状となることもある。最近は検診や他科の超音波断層法やCTで偶然発見される例が増えているが、必ずしも早期発見例ではない。転移は肺、肝、骨に多い。

               治  療

 化学療法も放射線療法もほとんど無効で、手術が中心であるが、その他動脈塞栓術、温熱療法などがある。最近は免疫療法が注目され、これらを組み合わせた各種治療法が試みられている。以下薬物療法を中心に述べる。

 抗癌剤が無効のなかでfluorouracil系薬剤特にUFTは多少有効である。 UFT の副作用は食欲不振、嘔気、嘔吐、全身倦怠感、下痢などである。もちろん単剤の効果に限界があり、各種併用療法が試みられている。

 多剤併用療法ではMVB (CR十PR率36%) は最初の24時間は3時間毎8回、次の48時間は6時間毎8回投与る。MVPR (PR+MR率36%) はそれ自体さほど有効ではないが、イソターフェロンとの併用で有効性が示された。副作用は口内炎、肺線維症、腎機能障害である。

 インターフェロンαも単独の有効率は20%以下と低い。ただし、今後インターフェロンを中心にMVPやUFTあるいはtumor necrosis factorやinterleukin- 2 などサイトカインとの併用が期待される。