更年期女性に多い「微小血管狭心症」

更年期にさしかかっている女性が、突然、胸に締め付けられるような痛みを感じたり、背中やのど、あごなどの部分が痛くなったりするようだったら、それは「微小血管狭心症」の症状かもしれません。

微小血管狭心症は、心臓の星血管が収縮・閉塞しておこる病気。患者は更年期を迎えた40代後半から50代の女性に多く、その年代の女性の1割にみられるとも言われます。閉経を迎え、血管の拡張作用がある女性ホルモンが減少することが原因の一つと考えられています。

微小血管狭心症の症状は胸痛で、狭心症の症状と似ていますが、冠動脈に異常があるわけではないため、冠動脈造影検査(心臓の血管にカテーテルという細い管を通し、血管がよく映る造影剤を注入して撮影する)などの検査をしても見つかりません。

加えて、この病気の知名度は、医師の間でさえそれほど高くありません。こうした背景から、診察を受けてもなかなか正しい病名にたどり着かず、多くの疾患が心臓神経症(心因性による心臓の病気)などの別の病気と診断されているといいます。

治療では、狭心症で一般的に使われているニトロ製剤を飲んでも効果が薄いです。ある程度の太さ以上の血管にしか作用しないためです。しかし、細い血管を拡張する作用があるカルシウム拮抗薬のジルチアゼム(製品名ヘルベッサー)やベラパミル(製品名ウソラン)などを使えば、改善がみられることが多いです。確実な予防法はまだありませんが、過労やストレス、不眠、冷えなどが発症に大きく影響しているといわれているので気をつけましょう。

何か心当たりがある場合は、循環器の専門医や女性外来を開設している医療機関などで相談してみましょう。診察の際に、「微小血管狭心症って何?」と医師に聞いてみるのも一つの方法です。