ヒアルロン酸に美肌効果はあるのか?


ヒアルロン酸は、結合組織の成分です。結合組織とは、文字通り体の中で細胞と細胞、組織と組織を結び付ける働きをしているものです。眼の硝子体成分として発見され、眼ばかりでなく、皮膚、筋肉、軟骨、血管、脳などの組織に含まれています。

赤ちゃんのときには大変多いのですが、歳をとるとともに減っていくことから、肌を若々しく保つ美肌効果、関節炎を和らげる効果が期待され、健康食品によく使われています。

論文検索の結果ですが、ヒアルロン酸では678件がヒットしました。

美肌効果が期待されるというので、「美肌」というキーワードで検索してみましたが、サケ由来のタンパク質にコラーゲンとヒアルロン酸の産生効果が認められるというものと、「美肌ブーム」に関する問題点を明らかにするものの2件の論文がありました

次に「美容」というキーワードを入れてみると、39件の論文が出てきました。これらの論文を検討してみると、美容整形医によるものがほとんどで、しわをとるためにヒアルロン酸を注入するといったものです。

顔面への注入でアレルギーを起こす可能性の指摘、合併症の指摘もあり、それを行う医師には節度と責任を求める、という論文もあります。十分なインフォームドコンセントの必要を訴えるものもありました。

「美肌効果」についての論文は見当たりませんでしたが、保湿というキーワードを入れて再度検索をしてみると、29件がヒットしました。

こちらもほとんどが、医薬品などの副作用で起こる口の中の乾燥を防ぐ目的に使用した事例で、皮膚の保湿に使ったというものは1件のみ。それも生体内でヒアルロン酸抗生物質となるN-アセチルグルコサミンヒアルロン酸そのものを与えた場合。プラセボを与えた場合と、二重盲検試験を行っています。アセチルグルコサミンを与えたグループでは皮膚の水分量が増え、乾燥肌が改善されましたが、ヒアルロン酸グループでは効果がなかったとしています。

ちなみに口の中の乾燥に関してはいくつもの論文で有効でした。

国立栄養研のデータベースでは、経口摂取によるヒトでの有効性について信頼できるデータはないとしています。

こうやってみていくと、美肌効果に関する論文は見当たらないことがわかります。

ヒアルロン酸を含んだ化粧品や健康食品はたくさん見かけますが、現時点では医学的な根拠はあまりないように思われます。ヒアルロン酸アミノ酸が重なったものであり、吸収の際には結局アミノ酸にまで分解されてしまうので、まぁ美肌効果というかただ体に良いというだけなんじゃないですかね~。