アトピーの人をカモにするビジネス

アトピーを完治させる治療法は今のところありません。しかし、完治しないまでも、症状を抑えて、普通の生活に支障がないようにはできます。アトピー性皮膚炎のガイドライン厚生労働省と、日本皮膚科学会、日本アレルギー協会でそれぞれつくられており、その治療法は確立しているといえます。

にもかかわらず、アトピーほど民間療法が多種多様に登場し、多くの人が利用している病気はないのではないでしょうか。アトピーに関する民間療法の危険性については「アトピービジネス」という命名により警告が出されています。

アトピービジネスとは、科学的根拠のない治療に対する効果を最大に宣伝し、あるいは嘘をでっち上げて、アトピーの人からお金を巻き上げるビジネスです。

なぜ、このアトピービジネスに釣られてしまうかというと、ステロイドなどの薬に対する恐怖感がその背後にあるようです。実際にステロイド薬は強い医薬品ですから、できるだけ使わないほうがいいのは確かです。しかし、きちんとした皮膚科の医師の指導のもとで使うことで、最小限で最大の効果を上げることができる薬でもあります。

今まで、あまりにも容易に、あるいは、間違った使用方法でステロイド薬が使われてきたために、使っていると皮膚が黒くなるなどという誤解が起き、それが「ステロイド薬は怖い」というイメージをつくりだし、アトピービジネスがそれを利用し、拡大させたというわけです。

また、アトピーの治療には時間がかかります。根気よく治療薬や保湿薬を塗り続け、生活環境や食生活の改善に努めなければなりません。それが大変だということもあるでしょう。手っ取り早く治す方法、根本的に治す方法、手間のかからない方法を求めてしまう気持ちもわからないではありません。

しかし、それがかえって遠回りだったり、悪化させる原因、治りにくくしている原因になっていることもあるようです。それだけに、民間療法については慎重でなければなりません。