片頭痛の原因は帯状疱疹ウイルス!?

近年、片頭痛の治療でトリプタン系薬剤に並んで注目を集めている医薬品があります。帯状疱疹の治療薬として知られるバラシクロビル(製品名バルトレックス)です。実際、片頭痛群発頭痛の患者に対して大きな効果を挙げています。

女性に多い片頭痛は、脳血管が拡張して炎症が起こり、痛みのシグナルが三叉神経を経て大脳皮質に伝わるという説が有力ですが、そのメカニズムに帯状疱疹ウイルスが関係しているとする意見もあります。

帯状疱疹ウイルスは、水疱瘡の原因ウイルスとして知られています。水疱瘡が治った後も神経節に棲みついており、体が健康なうちは悪さをすることはないものの、ストレスなどによって免疫力が落ちたときに再び暴れだして痛みが悪化する原因になるといいます。

片頭痛の随伴症状として現れるアロディニア(皮膚の違和感)と帯状疱疹ウイルスの関係はすでに明らかになっています。片頭痛がウイルスによって引き起こされる可能性が高いことを示した研究は、スウェーデンで行われた国際頭痛学会でも注目を集めました。

診断では、問診や精密検査に加えて血液検査を行います。帯状疱疹ウイルスが体内で暴れていないかどうかを調べるためです。

検査の結果が出るまで1週間ほどかかりますが、患者には、それを待つことなくバルトレックスを「見切り発車的」に飲み始めてもらいます。薬の効果が高い「ゴールデンアワー」は症状が始まってから数週間と短いです。高い効果を得るためには、この時間を逃さずに治療することが大切だからです。

ちなみに、バルトレックスによる治療には、副作用などのデメリットがほとんどありません。このため、飲み始めた後、痛みがウイルスとは無関係と判明したとしても、影響はほぼないそうです。

帯状疱疹ウイルスは片頭痛だけでなく、さまざまな病気との関連が疑われます。ゴールデンアワーを逃さないためにも、早期に医療機関を受診したいものです。