なぜブラジル人は短命なのか?

ポルトガルやスペインでは、大航海するときには、海岸で獲れる魚を全部塩漬けにして、そして船に積んでいきました。それを何十日も食べて新大陸やアジアを目指したのです。新大陸を目指した人々は、ブラジルに塩漬けの文化をもって移住しました。

そのときにブラジルに持ち込まれたものは、ポルトガルの内陸の肉を食べる食文化でした。その食文化を代表する料理に、塩を付けた焼き肉を鉄串に刺して食すシュラスコがあります。シュラスコでは、とくに岩塩を非常に多くつけて食べます。それはポルトガルの肉食文化の特徴でした。

ブラジルでは豊かな肉とおいしい岩塩が手に入りました。それらをふんだんに摂ったため、ブラジルの人々は残念ながら短命になりました。

世界一長寿の沖縄からブラジルに移住した人々も、その同じ食文化にさらされました。サンパウロなら日本食店がありますから、日本の食事がいくらでも食べられますが、奥地に移住した人々は、そうした肉食文化で生活しなければならなかったのです。

サンパウロから西へおよそ800キロも奥地のカンポグランデに行きますと、第二次世界大戦中に日本は敵国になって、日本語でさえしゃべられなくなりました。家庭でさえ、日本語がしゃべられなかったため、日本の食文化は途絶えていきました。

奥地に移住した人々の24時間尿を調べた結果、彼らが魚や大豆を食べていないことがわかりました。そうすると、心臓死が多くなって、沖縄の人々に比べて17年も短命になっていたのです。短命化した原因は、ポルトガルの肉食文化だったのです。ほとんど野菜を食べず、肉だけの食生活をしますと、確実に短命になることがわかります。