中国人の意外な食生活

シルクロードトルファンは、気候は大変厳しい所です。冬は零下40度、夏は40度を超えます。そうした激しい気候で、どうして健康な食生活が保たれるのでしょうか。

それはフレッシュなものが食べられるからです。オアシスには水が豊富で、野菜や果物はフレッシュなものが手に入ります。その水は昔からの知恵で、天山山脈、コンロン山脈の雪解け水を、カレーズという地下水道で導いてきます。

地下水道は20mごとに井戸を掘って、その井戸の底をつないで水が蒸発しないように、一番土地の低いオアシスまで引いてきています。一年を通して、水を切らさないようにして、そこで食べ物をつくるのです。

地下水道を流れてくる水の中には、カルシウムとかマグネシウムとか、いいミネラルが十分入っています。そういう水で育つ食べ物ですから、ミネラルが十分入っているのです。

では冬場はどうするかというと、非常に高温で日差しの強い夏に、有り余るほど育ったブドウや杏子を乾燥させて保存しています。そうすると年がら年中、保存食として使えるのです。

野菜が保たれる問いは人参とか玉ねぎとかを、ご飯にふんだんに入れるのですが、野菜が採れなくなると、乾燥したレーズンなどをふんだんにご飯にまで入れます。

中国は漢方が盛んで、乾物は漢方の神髄であり、とにかくいろいろなものを乾燥して有効利用します。水分を飛ばせると、とくにドライフルーツにしても、これは命を育てる素が全部入っているのです。

非常に大事なマグネシウムなども大変多い、そして、大豆に多いイソフラボンという大事な女性ホルモン物質も、ブドウにはレスベラトロールという形ではいっています。乾物では、健康にいいものを濃縮された形で摂ることができるのです。

アンチエイジングの分野では大変注目されている抗酸化栄養素、これは木の実にしても、そうしたフルーツにしても、紫外線の害から種を守るために、実や種の周囲に抗酸化栄養素がたくさん入っています。

それを濃縮して、乾物としてドライフルーツとなり、ナッツ類として食べるということは、素晴らしい食文化です。そうした食文化をシルクロードの人々が持っていた。それが、広州から香港にまで伝わってきたのです。

シルクロードの人々はアーモンドとかのナッツや固い殻を、ゆっくり一つ一つつぶして楽しんで食しています。香港も、スイカやカボチャの種にしても、きちんと食べて楽しむという習慣があります。

香港は流通が良いため、東南アジアからの多様な新鮮な果物も入ってきて、しかも乾物の食材が年中途絶えることがありません。シルクロードの人々の知恵を使った長寿地域の生活が、香港に受け継がれているのです。