「総合メディカル」の「DtOD」システム

 医療機器のリース会社としてスタートした「総合メディカル」は、医療機関内に設置されたTVレンタルから薬局経営、医療コンサルティングまでを事業化する『医療の総合商社』である。

 その総合メディカルが、医療機関および医師を対象に『サクシードメンバーズ』を組織し、情報提供や意見交換の場を設けている。同社がこうした病院と医師を結ぶネットワーク作りを始めた目的は、新規開業や医療機関継承などのコンサルティング事業に結び付けるためだ。

 このコンサルティング事業は、10月から開始された、病院の継承・連携・転職システムである「DtOD」。業務内容は、後継者のいない医療機関の後継者探し、あるいは医療機関同士の連携、医師の転職や独立までを扱い、勤務医、病院、開業医の3者をつなぐところにある。

 また、勤務医がより高度な医療機関での臨床を希望したり、地方での生活を望み、転職を希望しているケースがあればこれもサポートする。

 サクシードメンバーズの会員になり、「DtOD」システムを利用して、地方の中核病院に転職した医師が、数年後に後継者難の診療所を引き継いだケースでは、勤務した中核病院と継承した診療所に連携関係が生まれ、一般診療は診療所、高度医療は中核病院という厚労省のめざす診療・医療の棲み分けに寄与した。こうした例は数多くある。

 診療所は年間約4900件の開業と同4400件の閉院、廃院があるというデータがある。つまり、500件余の診療所が毎年増加しているわけだ。これが、同社など医療コンサルタントの市場だ。

 この市場の中で、「DtOD」システムは、開業意欲のある勤務医と、患者を抱えながらも後継者の確保に困っている診療所の医師、あるいは、優秀な医師を確保し、医療の質を上げたい病院を連携させることで、三者三様の問題、課題を解決するビジネスを実現させてきた。

 継承開業や新規開業を手掛けた場合には、不動産(病院の土地、建物など)仲介、医療機器リースなどで1件当たり約300万円の費用を想定している。

 医師側から見れば、開業に当たって、コンサルタント料だけでこの程度の予算を組んでおかなければならないということになる。