媒介動物対策

 動物は病原巣あるいは感染源として病原体を保有する場合があるほかに、特に節足動物類は感染経路として病原体を運搬する役割を果たすことが少なくない。したがって、これらの有害動物の駆除は病原体対策としても、あるいは次に述べる感染経路対策としても重要である。ここではその場合に用いられる用語について触れておく。

 鼠族昆虫駆除disinfestation―人、衣類、環境、家畜に存在する有害小動物、特に節足動物や鼠族を殺したり、除去するために用いられる物理的、化学的方法をいう。相手が昆虫だけのときは、昆虫駆除disinsectionと呼ぶ。

 燻蒸fumigation-ガスを用いて動物、特に節足動物と鼠族を殺す方法をいう。

 殺鼠剤rodenticide-鼠族を駆除するのに、通常は摂取させて用いる化学剤をいう。

 殺貝剤molluscicide-かたつむりやそのほかの貝類を駆除するのに用いる化学剤をいう。

 殺虫剤insecticidに節足動物を駆除するのに用いる化学剤をいい、粉末、液体、噴霧液、エロソール、吹きつけ剤として用いられる。通常残留効果がある。殺幼虫剤larvicideというのは、特に未成熟期の節足動物駆除に用いられる殺虫剤を指しており、殺蛹剤imagocide、殺成虫剤adulticideというのはそれぞれ成熟期、成虫節足動物の殺虫剤のことである。

 忌避剤repellent一節足動物が人に止まったり、剌咬したりするのを防ぎ、また寄止虫の幼虫などが皮膚から穿入するのを妨げるために、皮膚、衣類、そのほかの場所に用いる化学剤をいう。