成人リンパ性白血病,慢性骨髄性白血病,さらに再発後における骨髄移植療法の成績

 慢性リンパ性白血病は欧米では頻度の高い疾患であるがわが国では比較的まれである。成熟小型リンパ球の増殖蓄積が本能と考えられており,B細胞由来のものがほとんどであるが、本邦ではT細胞由来のものも多く,この中には成人T細胞白血病の慢性型が含まれている可能性が高い。また慢性骨髄性白血病と異なり急性転化を見ることは極めてまれである。

 治療はアルキル化剤の経口連日投与が行われるが,副腎皮質ステロイドが使用されることもある。またこれらの療法で無効の場合, vincristine, 6-MPを加えた多剤併用療法が試みられる。

 骨髄移植については触れなかったが,骨髄移植は非常に強力な化学療法ができることに加え免疫反応の存在により,残存する白血病細胞を根絶することが期待でき,確実に有効性を示す療法であることは間違いない。しかし,HLA型の一致したドナーを必要とすること,患者は比較的若年者で,合併症等のないことなどの条件があり,すべての症例に対して適応できないことなど問題点もある。また,急性骨髄性白血病では,これらの好条件の整った患者の治療成績としては化学療法単独の成績と差がないという報告もある。しかし,成人リンパ性白血病慢性骨髄性白血病,さらに再発後における骨髄移植療法の成績は化学療法より優れており、慎重な適応により白血病治療全体の治療成績向上に寄与すると考えられる。

 また近年,強力な化学療法が行えるようになったのは,輸血や抗菌療法などの補助療法の進歩によるところが大きいが,いまだ限界がある。今後,さらに治療成績を向上させるには免疫療法,サイトカイン療法などによる,宿主の免疫力のコントロールを含めた集学的治療の開発に一層の努力を重ねるべきであろう。