全医療職の派遣解禁

 医師、看護師の派遣を派遣サービス会社などが、2つの形で行えるようになった。03年3月には、介護保険対象の医療サービスを除く社会福祉施設などへの医師や看護師、PT(理学療法士)やOT(作業療法士)など全医療職の「派遣」が解禁された。

 また、04年3月には医療機関における「紹介予定派遣」(以下=紹介)が認められ、派遣サービスの形態も多様化した。「紹介予定派遣」とは、当初は最長6ヵ月を限度に派遣職員として勤務し、求人側と求職側の条件が合えば、雇用契約を結ぶという仕組みだ。

 医師と看護師の紹介は活発になっているが、理学療法士作業療法士臨床検査技師などはまだ求職者数が少なく、あまりこの制度の利用は拡大していない。

 「派遣」と「紹介」の違いはわかりにくいので、もう一度説明しよう。「派遣」とは、求職側か派遣サービス会社などと契約し、業者が雇用する医療職員の派遣を受けるサービスのことだ。企業で行われている人材派遣だが、求職側、つまり医療機関や介護施設は、派遣された医師などに対して、雇用者と同じレベルでの指揮命令権を持つことができる。

 一方「紹介」は、求職・求人の申し込みを受けた派遣サービス会社が求人側と求職者の間を取り持ち、両者が納得、合意すれば直接雇用契約を結んでもらう斡旋的なサービスだ。

 「紹介」が業者を通じて行われるようになったことは、派遣サービスの形態や対象職種が広がり、さまざまな活用の仕方が可能になり、医療機関にとっては歓迎すべきことだ。また、「派遣」が行えるようになったことはさらに前進したと言える。

 これまで、医療分野で医師や看護師の派遣が禁止されていたのは、派遣労働では事前面接が行えないために、派遣された医療機関が派遣労働者の資質を判断できず、チーム医療を阻害する恐れがあると考えられたからだ。

 しかし、最長6ヵ月にわたり、資質を見ることができるようになり、この問題は一応の解決を見た。医師や看護師のような国家資格保有者こそ資質は担保されており、派遣労働になじみやすいが、権威主義の医師会や頭の固い厚生官僚にはなかなかそれが理解できなかったようだ。