急性白血病:標準危険群および高危険群の治療法

 

 急性白血病にはリンパ性と骨髄性があり、リンパ性は小児白血病の約80%を占める。発熱、貧血、出血傾向、関節痛、全身倦怠感、リンパ節腫大などで発症し、骨髄穿刺により診断される。発病時の年齢、白血球数、染色体異常の有無、芽球の表面マーカーなどにより、予後の予測が可能で、標準危険群と高危険群の2つに大別される。

 標準危険群(白血球数が20、000/μ1以下で年齢が2~10歳)の治療はvincristine (Oncovin)+L-asparaginase (Leunase)+pirarubicin (Pinorubin)+prednisoloneで寛解導入を行い、 cytarabine (Cylocide、Cytosar)+mitoxantoron (Novantron)+mercaptopurine (Leukerin)による早期強化療法に引き続き、 methotrexate (Methotrexate)の髄腔内投与と同薬剤の大量投与による中枢神経系浸潤予防を行い、さらに強化療法を2~3コース加えた上でmercaptopurine+methotrexateによる寛解維持療法を続け、約1年間で治療を終了する。標準危険群の5年寛解生存率は70%以上の好成績である。

 高危険群(白血球数20、000/μ/以上で年齢が1歳未満あるいは7歳以上)は標準危険群の治療に加え、放射線頭部照射やcytarabine の大量による強化療法が行われる。また、白血球数が100、000/μ/以上と高かったり、フィラデルフィア染色体(Phl染色体)など染色体異常のあるものは超高危険群といわれ、再発しやすいためより強力な化学療法が行われる。

 急性骨髄性白血病白血病細胞の形態的特徴から急性単球性白血病や赤白血病、急性巨核球性白血病など8つの亜型に細かく分類される。その中で急性前骨髄球性白血病は発病時、播種性血管内凝固症(DIC)を合併し、高度な出血傾向を示すことがあり、また、乳児に多発する急性骨髄単球性白血病では皮膚浸潤が初発症状となることがある。急性骨髄性白血病は一般的に難治性のため最初がらetoposide、 cytarabine、 mitoxantoronなどによる強力な多剤併用化学療法が行われる。

 化学療法を続けても急性骨髄性白血病や超高危険群の急性リンパ性白血病の予後はきわめて不良である。したがって、これら疾患に対しては初寛解期に積極的に骨髄移植が行われる。家族の組織適合性(HLA)検査を行い、HLAの一致した骨髄提供者(ドナー)がみつかれば同種骨髄移植、みつからない場合は自家骨髄移植が適用される。

 小児期に発生する悪性腫瘍には様々な種類がある。このうち最も頻度の高いのは白血病で全体の4割強を占める。つぎが子供の腹部腫瘍として代表的な神経芽腫で、以下脳腫瘍、悪性リンパ腫、網膜芽腫、ウイルムス腫瘍、肝芽腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、胚細胞腫などと続く。

 これら小児悪性腫瘍はほとんどが未分化な細胞のがん化であるため、増殖速度が速く、転移・浸潤を来しやすいが、抗癌剤などによる治療に反応しやすく、治癒も得られやすいという特徴を持っている。