注射だけの痔の手術

痔核の治療というと、手術というイメージがありますが、一度や二度であれば生活習慣の改善と炎症を抑える軟膏や座薬などを用いる薬物治療、注射による治療などが中心となります。

硬化療法は痔核の周りに注射をすることで、痔核を固めてしまう治療法です。現在、行われている方法は2種類あります。

一つは痔核の根元の血管周辺の粘膜下にフェノールアーモンドオイルを注射して痔核を固める「フェノールアーモンドオイル硬化療法」、もう一つはジオンという薬を患部に注射して痔核に流れ込む血液量を減らして止血し、痔核を小さくする「ALTA硬化療法(別名ジオン注)」です。こちらは三度以上の痔核にも効果があるとして注目されています。

いずれも治療時間は短く、体に負担も少ない治療です。ただ、前者は効果があるのは1年ぐらいですし、後者も手術とは違って根本的な痔核をとるわけではないので再発することもあり、後から手術を追加しなければならないケースもあります。いずれも誰にでも適応できる治療法ではありません。

一方、症状が進行して、サンド、四度となると手術が必要となります。そこまで進行していなくても、痔核による出血がひどくて貧血になっている人や、日常生活に支障があると訴える人では、二度でも手術をすることがあるといいます。

痔核の手術は痛いとか、お尻が緩くなるとか、マイナスのイメージを持っている人も多いようです。しかし、肛門が緩くなることはありません。手術後の痛みは手術方法によって違ってきます。たとえば結紮切除術の場合は2週間ぐらい痛みが出ることがありますが、痛み止めなどを使えば軽くなります。

「案ずるより生むが易し」ということわざもあります。お尻の悩みがある人はまず肛門科へ。長く悩んでいた方ほど、「トイレのときのわずらわしさから解放されてよかった」と話されるそうです。