日清医療食品

 病院・老人福祉施設給食の分野では、シェアーナンバーワン、そして全国展開しているのが日清医療食品である。

 顧客業種別を金額ベースで見ると病院56%、医院3・9%、老人保健施設15・4%、特別養護老人ホーム13・7%、病院内レストランー・9%となっている。

 件数ベースでは病院の一件当たりの平均受注金額は老人施設などよりも大きい。この差は老人福祉施設は病人の施設ではないことから特別な治療食の加算がないからだ。

 したがって一件当たりの平均受託金額は病院は大きく、老人福祉施設では小さくなるというのが一般的だ。

 同社は「IH加熱カート」という電磁気の原理による加熱調理方法を最初に導入した企業として知られる。従来の保温カートは保温機能だけだったが、加熱力ー卜は、運びながら加熱調理する方式だ。そのため作りたてとほとんど同じような状態で、患者に食事を提供することが可能になった。

 さらに新型力ー卜は加熱だけではなく、デザートなどを冷たくして出すということもできるようになり、より進歩を遂げている。

 加熱カードを利用するメリットの一つは、まず病院の厨房で食材を洗ったり、切ったりする 作業が減らせるという効率化だ。

 冷凍食品でもチルド食品でも、同社でレシピを作った完調品(完全調理済み食品)をメー力ーに発注し、メーカーの倉庫から顧客先の医療機関にこの完調品を配送、病院の厨房に待機する同社のスタッフが、この完調品を食器に入れてIH加熱カードで加熱調理するだけで、すぐに患者に温かいメディカル給食が供給されるという仕組みだ。

 一食分すべてが完調品ではなく、メニューのうち1品か2品だけ完調晶を導入するというやり方もある。

 いずれにせよ、メディカル給食という事業は、医療機関と同じように労働集約型だけに人件費は垂い。

 受託先1件につき、少なくとも2人の栄養士と調理師資格を持つ正社員に、調理作業の手伝い役のパートが配置されなければならない。そのため、同社ではIH加熱力1卜の導入により、受託先に派遣する社員や、パートの数を大幅に減らすことに成功し、収益を上げることができた。