2015-04-17から1日間の記事一覧

再び高まる偏見

血友病患者の孤立が深まりつつある。全国に三十余りある血友病友の会の組織が、二上二の例外を除いて活動休止の状態に陥り、息をひそめている。 血友病患者やエイズへの偏見が深まりこそすれ解消されていないからだ。 具体例の一つに九州地方のある患者がい…

毎日新聞に抗議、厚生官僚の厚顔

薬害エイズ問題に最も早い時期から取り組み、良質な報道を続けてきた『毎日新聞』に厚生省が抗議した。 事の顛末は一九九七年版の『厚生白書』の薬害エイズの部分から「菅厚生大臣が国の責任を認めたうえで、患者、家族の方々に心からお詫びした」との文章が…

安部氏の絶大な権力を示した弟子の喚問

九七年六月四日、薬害エイズの責任を問かれている元帝京大副学長・安部英氏の刑事裁判は、証人第一号を迎えた。 初めての証人は、長年、帝京大学附属病院で安部氏の愛弟子だった木下忠俊教授である。当日の法廷の印象をひと言でいえば、あるいはこのような表…

厚生省は知っていた

九七年五月二八日、東京地裁一〇四号室で厚生省薬務局生物製剤課の元課長、松村明仁氏の刑事公判が行なわれた。「HTIVに汚染された非加熱濃縮製剤を、加熱濃縮製剤が導入されてからも回収命令を出さずに販売を放置していた。それによって少なくとも二人…

官・業・医の無責任の連鎖

一九九七年三月は薬害エイズの刑事裁判が集中した月だった。安部英氏、二百に松村明仁元厚生省生物製剤課長、二四日に松下廉蔵氏らミドリ十字歴代の三社長の初公判が行なわれた。容疑はいずれも業務上過失致死罪である。 東京地検が安部、松村両裁判を、大阪…

少年Mの悲痛な叫び

薬害エイズに関して、国と製薬企業が被害者に謝ってから、一九九七年三月末で一年になる。この問に五〇人余りの被害患者が亡くなった。厚生省が把握しきれていない人も含めれば、死者の数はもう少し増えるだろう。 私がよく知っている人々も何人か含まれてい…

薬害エイズ被告人の大権威

九七年三月一〇日、記者会見を終えて部屋を出ようとした安部英氏は、記者席にすわっていた私の前に立ち止まり、小腰をかがめて私の目を見つめながら、細い声で話しかけてきた。 かすれるような声で氏が発したのは「こんにちは」という挨拶だった、ような気が…

厚生官僚の大逆襲

日本にエイズ研究班が設置された一九八三年、研究班班長安部氏の患者は安部氏の強力な主張にもかかわらず、なぜエイズ患者だと認められなかったのか。厚生省エイズ調査検討員会は、二年後の八五年三月に、なぜアメリカ在住の同性愛者を日本で初めてのエイズ…

ミドリ十字の懲りない体質

「私どもは、決して虚偽の報告をしたとは思っていません。当時どういう判断でどういう数字をもっていたのか精査すると、虚偽の報告をしたという証明はできません」 大阪ミドリ十字の本社で行なわれた記者会見で専務の西田正行氏はマイクを握りしめてこう述べ…