リーシュマニア症の予防対策

 A 基本方針

 まず流行地をよく認識し、流行地ではサシチョウバエの剌咬を防止するため、できるだけ体の露出部分を少なくすることが必要である。サシチョウバエは残留性のある殺虫剤に対しては高い感受性があり、かつ飛行距離が限定されており、物体の表面に長時間とどまるため、適当な殺虫剤を家屋の周囲、内部などに噴霧するとよい。また、家畜が保虫宿主として重要な位置を占める場合は家畜舎の周囲のスプレーも実行すべきである。

 B 防疫

 保虫宿主、特に野犬などで皮膚、粘膜にリーシュマニア症を疑わせる病変のあるものは適当に処置する。流行地では系統的に調査を行い、早期に治療して他への伝播を防止するべきである。サシチョウバエの棲息場所、産卵場所となるゴミ置場、家畜小屋などは清潔にし、上述のように適当な殺虫剤のスプレーを行う。

 C 治療

 5価のアンチモン剤であるペントスタム(Pentostam、 sodium stibogluconate)が第一選択薬剤であり、わが国で厚生省熱帯病治療薬の開発研究班を通し入手し得る。海外では同系統のGlucantime (meglumine antimoniate)が用いられることもある。このほかにペンタミジン(pentamidine)も用いられる。