2015-01-22から1日間の記事一覧

フィラリア症 Filariasis

I 臨床的特徴 1.症状 体各組織(リンパ節、皮下、腹腔、体腔など)に寄生する線虫による感染症で、わが国にはかつてバンクロフト糸状虫症とマレー糸状虫症があった。いずれもりンパ節、リンパ管に寄生する。症状は成虫によるものが主体であるが、前者の方…

ピンタ Pinta (Carate)

Treponema carateumによる非性病性の急性ないし慢性の感染症。伝播様式は不明であるが、小外傷や昆虫の刺傷、吸血などと関係があるらしい。病原巣はヒト。感染7~60日後に上下肢や足背の皮膚に鱗屑性丘疹が現れ、所属リンパ節の腫脹を伴うが、5~12か月後に…

百日咳 Whooping cough (Pertussis) :パラ百日咳

I 臨床的特徴 1.症状 百日咳は特有な痙攣性咳嗽を主徴とする急性呼吸器感染症で、主病変は気管支上皮の炎症と間質性肺炎である.全経過は6~8週間、3期に分けられる。 1)カタル期(1~2週間)発病は潜行|生で鼻汁・乾性咳嗽・結膜充血・朧涙・微熱な…

肥大吸虫症 Fasciolopsiasis

ヒト、ブタの小腸上部、特に十二指腸粘膜に寄生する大型の吸虫Fasciolopsis buskiの感染症で、アジア(インド、タイ、ベトナム、中国中南部)に分布する。日本には罹患者の移入例が見いだされている。糞便に出た虫卵は淡水中でミラシジウム(有毛幼虫)が発…

鼻疽 Glanders

急性または慢性の化膿性ないし肉芽腫性病巣が皮膚、鼻粘膜に見られ、また全身感染、敗血症も起こす致命率の高い細菌感染症である。急性敗血症の型では2~4週の経過で死亡する。鼻炎型では口、鼻、喉頭、気管の粘膜に結節、膿瘍、潰瘍をつくり、膿汁を排出…

ヒストプラスマ症

かつては極めてまれな、しかし必ず死亡する疾患と考えられていたが、今日では流行地の大部分の住民が感染し、そのほとんどは自然治癒する全身性真菌症であることが分かった。病原体は、最初原虫と考えてHistoplasma capsulaturnと命名されたが、その後これが…

バルトネラ症 Bartonellosis

南米、特にペルー、エクアドル、コロンビアの標高750~2、500mの山岳地帯の谷に存在する風土病であり、病原体はBartonella bacilliformisという細菌でPhlebotomus属のスナバエに剌されて感染する。臨床型は発熱型(Oroya fever)と発疹型(Verruga peruana)に分…

パラコクシジオイデス症

原因菌はParacoにid.ioid.es brasilie刀臨である。本症は南アメリカに地方病として発生し、特にブラジル、コロンビア、ベネズエラにおいて高率に見られるoわが国で見られる症例は汚染地域で感染したものである。男子は女子に比べ罹患率が高く、農夫や労務者…

破傷風 Tetanus

I 臨床的特徴 1.症状と経過 破傷風は創傷部位で嫌気的発育をする破傷風菌の産生する毒素、神経毒による急性中毒性疾患である。臨床的には全身の横紋筋の強直と自立神経系の失調などが特徴的な疾患である。破傷風の症状は初めから出そろうものではなく、段…

皮膚真菌症

1 臨床的特徴 1.症状 表在性真菌症の一種で、いろいろな白癬菌によって起こる。大別して、(A)病変が主として皮膚角層に限局する浅在性白癬と、 (B)真皮に炎症性組織反応を伴う深在性白癬とに分け、それぞれ数型に細分される。 浅在性白癬の頭部白癬tin…

真菌性肺炎 Fungal pneumonia

真菌による肺感染症は増加しつつある。広域抗菌薬による菌交代症あるいは免疫抑制療法による白血球(顆粒球)減少、体液性・細胞性免疫の低下、ステロイド療法が誘因になっている。 病原体としてアスペルギルス、クリプトコックス、カンジダ、ムコールのほか…

ウイルス性肺炎

Ⅰ 臨床的特徴 1.症状 徐々に発病することが多く、鼻汁、咳などの気道症状が数日前から見られる。家族内にも同様の症状がよく見られる。細菌性肺炎ほど高熱でなく持続期間も少なく数日程度であり、悪寒・倦怠感・関節痛なども軽い。咳は乾性、刺激性で痙攣…

マイコプラズマ肺炎

I 臨床的特徴 1.症状 発病は亜急性で全身倦怠、発熱、頭痛、乾性咳嗽で始まる。体温は39℃以上に及ぶことが多く、半数は悪寒を伴う。鼻症状は少なく、咳嗽は乾性から次第に湿性になり、激しさを増す。発作性で頑固であり、発熱そのほかの症状が消失してか…

ブドウ球菌性肺炎 Staphylococcal pneumonia

I 臨床的特徴 1.症状 上気道炎に続いて高熱、咳嗽をもって発症し、呼吸障害が速やかに進行して不機嫌、蒼白、苦悶状となる。乳児では呻吟性呼吸、胸廓陥没、鼻翼呼吸が高率に出現し短時間で中毒症状を呈し循環障害に陥るO重症感がある。乳児では約半数に…

突発性発疹:小児バラ疹

I 臨床的特徴 、 1.症状 本症の罹患年齢は通常2歳以下、大部分が1歳未満であり、特に5~12か月に多い。突然、高熱を発し、3~4日間持続した後分利的に下熱すると同時に発疹が出現する。約半数は生後初めての発熱であるとされる。発疹出現部位は体幹部…

トキソプラズマ症

I 臨床的特徴 1.症状 代表的な人獣共通寄生虫症に属する原虫感染症。発症例は先天性感染児に多く見られ、成人の後天性感染の場合は大部分が無症状に経過する不顕性感染である。先天性感染は母体から経胎盤性に増殖型虫体が胎児に移行して起こり、妊娠初期…

東洋毛様線虫症

小腸上部に寄生する小さく、細い線虫による感染症。成虫は粘膜内に頭部を穿人させて寄生しているが、病原性は低く、目立った病変は起こさない。少数寄生ではほとんど無症状で、多数寄生すると腹痛、貧血、食欲不振、下痢、全身倦怠、胆嚢炎様症状などを起こ…

痘そう Smallpox

オルトポックスウイルスに属する痘そうウイルスVariola virusの飛沫感染によって起こり、通常は12日間(7~16日)の潜伏期間の後急激に発病し、特徴のある熱型と、皮膚および粘膜に紅斑、丘疹、水疱、膿疱、落屑と規則正しく進行する発疹を生ずる急性の全身…

伝染性単核症

I 臨床的特徴 1.症状 典型は発熱、咽頭扁桃炎、頸部腋窩のリンパ節腫大、軽度の肝腫大と明らかな脾腫および後述する血液所見を特徴とする。発症は倦怠感、疲れやすさ、咽頭痛に始まり徐々に主症状が発現する。主症状はおよそ2週間続き、約1か月で軽快す…