マクドナルドと心臓死の関係

ヨーロッパはそれぞれの地域に、民族も違えば伝統も違う人々が住み、さまざまな食の文化をもっているところです。心筋梗塞と平均寿命をみると、心臓死の多い国があることに気がつきます。さて、どこでしょう?

西ヨーロッパでは一番短命なのがアイルランドスコットランドです。これらの地域には心臓疾患が多い。一方西ヨーロッパで、一番長寿で心臓死が少なかったのはフランスです。

スコットランドをはじめとするイギリス北部の人々は、食生活がほかの地域と大きく異なることが調査でわかりました。スコットランド北部のウエスタン・アイルスと言われる島々は、ゲール語を復活させようとしている地域で、特殊な食文化をもっています。島のほとんどは草原が広がっていて、木が見当たりません。気候のかなり厳しいところなため、羊の放牧が主な産業でした。一年に一回羊の毛を刈って、収入にして暮らしを立てることができたのです。

その人々の食生活は、羊を放牧しているので畑が作れないため、肉とパンが主です。葉野菜がまったくなく、ベーコンのような保存食用のものが多いです。それにジャガイモを塩と油で加工したポテトチップスが加わるのです。

肉とパンとポテトチップと言えば、有名なファーストフードの「マクドナルド」という名前は、シェークスピアのマクベスにも出てくるスコットランドの領主のものと同じです。もちろん直系の関係はありませんが、ファーストフードはアメリカに移住したスコットランドの「マクドナルド」の子孫が作り出したのです。

このファーストフードの原点のような食は、とにかく塩分が多くて野菜が少ないのが特徴です。ナトリウムとカリウムの比率にすると、ナトリウムに偏った非常に悪い食の典型なのです。それに油を摂るということになると、食塩と脂肪の摂取という、最も悪い組み合わせになります。

この組み合わせは動脈硬化が最も進みやすいのです。塩分を摂ると、腸を灌流するリンパ液が増えて、リンパ液に乗って中性脂肪コレステロールも血中に入ってきます。そうすると肥満も多くなり、高脂血症コレステロール血症が増え、動脈硬化がどんどん進むのです。

そのうえ肉の食べ方も偏っています。日本でいうホルモンなどのビタミンやミネラルが多く含まれる内臓食の文化はなく、ベーコンとかソーセージなどの加工された食ばかりです。こういう食では心臓死が多く短命になっても不思議ではありません。

またここで魚を食べるとき、フィッシュ・アンド・チップスという食べ方をします。酢をかけて食べる人はまだ良いのですが、普通は揚げて脂っこくした肉の代わりの魚とジャガイモに、塩を大量にふりかけるという典型的に悪い食になっています。