医療材料の物品コードの標準化・統一化

 処置・手術伝票(事後処理)の処理は、リアルタイムで情報データを抽出させる観点から処方箋と同様に統一し、現場で直接発生源入力(事前処理)できる体制が構築されなければならない。

 これが可能なら、経営の効率化だけではなく、患者にとって情報が開示された医療機関として歓迎されることは請け合いた。

 まず、一般的な処方箋の流れと、処置・手術の流れを見ていこう。

①事前処理された処方箋の流れ

 医療機関で通常行われている処方箋の流れは次のようなものだ。

 まず医師が患者を、(1)診察して、事前に必要とする薬を、(2)処方箋に記載=発生源入力する。次に薬剤師が、(3)処方依頼(処方箋)に基づいて薬を調合する。調合された薬を患者に(4)投与する。

 必要とする薬は、処方箋に事前に記入(発生源入力)していなければ、出庫(患者に投与)されない仕組みになっており、これが事前処理方法と言われる流れだ。

②事後処理の処置・手術伝票の流れと課題

 現在の処置・手術伝票の流れは、処方箋の流れと異なり通常、事後処理だ。この事後処理とは、医師が患者を、(1)診察して、処置・手術の使用医療材料を、(2)指示する。看護師は倉庫、棚から使用医療材料などを、(3)取り出す(準備する)。それを医師が、(4)処置・手術に使用する。

 その後医師、看護師によって、(5)処置・手術伝票に記載(事後処理)されるヶIスが多い。

 この仕組みでは、医療材料が処置・手術に使用されてから伝票記載(事後処理)されるために転記・記載ミスや請求漏れの発生原因(危険性としては医療過誤)をはらんでいることと、タイムラグが発生するためリアルタイムで情報データの抽出ができないことが問題点として挙げられる。

 これを改善する方法としては処理の流れを、①(処方箋の流れ)のような事前処理方法に統一することだ。

 処方箋(事前処理)と処置・手術伝票(事後処理)の流れが違うと、ITを駆使した「電子カルテーオーダリングシステム」を構築していく場合、現場で直接発生源入力(リアルタイムで物品情報)するか、あるいは医事課で再入力されるかによって、情報データは入院患者会計請求(支払い)業務・診療報酬明細書の仕組みにも大きな影響を与える。

 事前処理に統一した入力方法を採用するかしないかは、物流一元管理体制においても、物品依頼・発注伝票がなくて済む仕組みが可能になるか、ならないかに分かれる。つまり、事前処理に統一するかしないかが、経営効率改善に成功するかしないかの境界線になるわけである。

 さて、厚労省が推奨する物品管理システムのあり方は、医療業界で医療材料の物品(商品)コード標準化(JAN=EAN) ・統一化していくのが狙いだ。

 こうした中、世界最小の粉末状のIC(集積回路)チップが開発された。このICチップは、シリコンなどの半導体やガラス・紙などに埋め込むことができ、折り曲げても壊れない。

 つまり、バーコード読み取り装置と同じだから、電波でデータを読み取れ、患者氏名チェックや医薬品・医療材料1個、1個の識別番号を可能にする。このチップの登場は、さまざまな用途に使われ始めていて、医療における物流管理の姿を大きく変えようとしている。