骨・軟部腫瘍で薬物療法の対象となる腫瘍にはどのようなものがあるか

 骨腫瘍としては、骨肉腫、軟骨肉腫、悪性線維性組織球腫(MFHと略記)、ユーイング肉腫、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫が主要なものである。これらのうち、軟骨肉腫は抗癌剤の有効性が低いので高悪性度のものを除いては薬物療法を行わず外科的治療を中心に治療する。ユーイング肉腫、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫放射線治療も有効なので薬物療法放射線療法を組み合わせて治療する。


 多発性骨髄腫は病巣が全身性に多発していることが多いため外科的治療の適応とならないことが多いが、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫は外科的治療も併用する。骨肉腫とMFHは、主に薬物療法と外科的治療を行う。

 軟部腫瘍としては、脂肪肉腫、 MFH、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、神経肉腫、平滑筋肉腫が主なものである。これらの軟部悪性腫瘍に対する薬物療法の効果については、現在種々な議論がなされている。まだ決定的ではないが、ある程度の有効性を認める意見が多く、薬物療法を行い外科的治療を併用することが多い。

               診  断

 診断は画像診断と病理組織診断によってなされる。骨腫瘍では、まずX線像を検索する。典型的な骨肉腫のX線像である。一般に悪性の骨腫瘍は骨を破壊し種々な形の骨膜反応や骨外腫瘍を形成する。X線像では、 Codman三角と呼ばれる三角形の骨膜反応と、スピグラと呼ばれる細い針状の骨膜反応が認められる。そのほか断層X線像、CT像、 MRI、骨シンチグラム、血管撮影像などを検索すれば、その90%程度は画像からほぼ正確な診断が下せるが、最終診断は腫瘍の一部を切除する生検術を行い、標本を病理組織学的に検索して決定する。

 軟部腫瘍では、通常のX線像での診断は困難だが、CT像、 MRI によりその腫瘍の局在、大きさ、均質性、周囲組織との関係などの情報が得られる。一部の腫瘍ではCT値から腫瘍の組織診断が可能な場合もある。そのほか67Gaを用いた腫瘍シンチグラム、血管撮影像も役に立つが、骨腫瘍と較べると診断は難しく、最終診断は生検術による病理組織像の検索によってなされる。