関節リウマチの生物学的製剤はなぜ普及しないのか?


現在、日本で保険適用になっている生物学的製剤は、インフリキシマブ(製品名レミケード)、トリシズマブ(製品名アクテムラ)、エタネルセプト(製品名エンブレル)、アダリムマブ(製品名ヒュムラ)の4種類。前者2つは点滴、後者2つは皮下注射で投与します。

新薬の登場に加え、関節破壊は発症してから2年ほどの間に急速に進むことがわかったため、治療法はここ10年ほどの間に大きく様変わりしました。以前は症状に合わせて徐々に効果の強い薬に切り換えていく方法が主流でしたが、現在では、初期に抗リウマチ薬や生物学的製剤をしっかり使って症状の進行を抑える方法がとられます。

生物学的製剤を使う上で注意したいのは、薬が体の免疫作用を抑えることによって生じる副作用です。特に肺炎や結核などの呼吸器感染症にかかりやすくなることがわかっており、使用中は定期的な胸部検査が必要です。

薬が高価な点も普及のネックになっています。1回のインフリキシマブ投与にかかる費用は、体重50kgの患者で23万円ほど(3割負担で約8万円)。治療が長期になれば、患者に多額の負担が強いられます。

とはいえ、治療の選択肢が増えたことは患者にとって大きなメリットとなります。自分に合った治療法を選択するためにも、診療経験が豊富で副作用にも詳しい医師を選びたいところです。